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| 第５話 雑種犬タロー 館長さんは、何年か前にひろった雑種犬を飼っていました。名前 はタローです。 わが子が大きくなって外に出て、家に老夫婦しかいないので、そ の犬は子どもの代わりというわけです。初めて飼ったペットでした が、その楽しさから、親類の集まる席でもタローの話をよくするよ うになりました。すると、親類の人から、「そんなに犬が好きなら、 血統書つきのコリー犬をもらってくれないか。」と言われました。 もちろん、喜んでもらいうけました。 さて、二匹になった犬にはおもしろい様子が見られます。餌をや ると、必ず、タローが先に食べ、残りをコリー犬がもらうのです。 ずっとそうでした。先に飼われていた者の方がえらいということな のでしょうか。 ある日、館長さんは、２匹飼っているのも大変なので、雑種犬の 方を捨てることにしました。かわいそうな気もしましたが、もとも と捨て犬だったのだから、たくましく生きていくだろうと、車に乗 せて山に捨ててきました。 ところが、何日かして、どうやってかわかりませんが、タローは 帰ってきました。 館長さんもそんなにまでして帰ってきた犬をまた捨てることはで きません。また、２匹飼うことにしましたが、不思議なことに気づ きました。 餌をやると、タローは決して先に手をつけないで、コリー犬が食 べた残りをもらうようになったのです。それからはいつでもそうす るようになりました。 館長さんは餌をあげながら、涙を流しました。そして、タローを 捨てたことを心から後悔したのです、、、。 ＬＭ |
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